2012年6月4日月曜日

救急科専門医の独り言: やけどの水疱は破るべきか?: So-netブログ


やけどの水疱は破るべきか? [研修医教育] [編集]

 研修医の先生とやけどの初期治療について話しあったので、少しずつ紹介させて頂きます。

 今回は水疱をどうすべきか?です。水疱は表面の皮膚がはがれた状態なので残しても無駄、すぐ破るべきとされていました。現在は水疱は出来るだけ温存すべきとされています。

 ちなみに水疱が出来たらII度以上のやけどであり、治るまでに2週間以上かかります。


入力の重量損失は、クラブの合計

 水疱を温存すべき理由を調べてみました。型の如くUpToDateからです。「Treatment of minor thermal burns(熱による軽度熱傷の治療)」と言う文献です。thermal burnと言うのは普通の熱傷の事であり、日焼けはsun burn、化学物質によって出来たものをchemical burnと呼んでいるので、thermalとつけているのでしょう。ちなみにheatburnと言った場合には、胸焼けの事でやけどではありません。おっと脱線してしまいました。

 水疱ー破れた水疱は取り除くべきであるが、きれいで破れていない水疱の治療は議論の別れる所である。感染の危険があるので、針で水疱を穿刺する事は決して行ってはならない。水疱内の液体が濁っていたり、破れやすい場所にある(関節付近など)場合には、水疱を破り除去する事を勧める。数週間経っても改善しない水疱は深い熱傷であるかも知れないので、専門医へ紹介するべきである。


動的歩行指数測定

 と言う事です。水疱が大きすぎて破れそうだと穿刺したくなるのですが、、、、水疱の上にフィルムをはって穿刺すると言う方法もあり、穿刺した事により水疱が破れる可能性を減らしますが、感染に関しては同じですね。
 「Local treatment of burns: Topical antimicrobial agents and dressings(熱傷の局所治療:局所の抗菌薬とドレッシングについて)」には以下のようにあります。ドレッシングとはサラダにかけるものではなく、創を保護することで、昔と言うか一番有名なのはガーゼです。


光線療法のにきびのコスト

 熱傷の水疱ー水疱の治療は、破れているかそうでないかによって異なっている。破れた水疱は除去すべきであるが、破れていない水疱の最も良い治療法は、議論の的であり、標準的な治療は存在しない。正しい手法で検討されたデータが存在しないので、色々な専門家が異なる結論を導き出してい得るかも知れない。例えば、水疱を破らないと感染の危険が高まると感じる専門医もいれば、水疱が感染に対するバリアーの役割を果たすと考える者もいる。我々は非常に小さな水疱は清潔で保護されており、湿潤環境にあれば破らない事を好む。我々の施設では大きな水疱は破って除去し、以下に従って治療する。


 水疱を破る理由は以下の通りである。
・大きく広範囲の水疱は水疱の下にある創に過剰な圧力をかける可能性がある。
・水疱が保たれていると創の深さの評価が困難となる可能性がある。
・水疱内の液体は創傷治癒に害を及ぼす。

 水疱を温存する理由は以下の通りである。
・水疱は感染に対する自然のバリアーとなりうる。
・水疱内の液体は創傷治癒を促進する可能性がある。
・局所抗生物質が投与されず、適切なドレッシングが行われない場合に創の乾燥が起こる。

 と言う訳で、水疱は出来るだけ温存するのが現在は正しいとされています。間違っても自宅で勝手に?破らないようにして下さいね。



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