時事ドットコム:米同時テロ10年 終わりなき脅威
2001年9月11日、イスラム過激派に乗っ取られた航空機がニューヨークの世界貿易センタービルとワシントン郊外の国防総省に突っ込み、約3000人の死者を出した米同時テロから今年で10年。米国はアフガニスタンとイラクで対テロ戦争に乗り出し、5月には、国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者を殺害した。だが、この間、テロの脅威は本当に払拭されたのか。イスラム過激思想は衰退したのか。時事通信の特派員が各地で取材した渾身のリポートをお伝えする。
忍び寄る「国産テロ」の脅威
米国は同時テロ後、国内のテロ警戒態勢を抜本的に改革し、再発防止に全力を挙げてきた。この10年間、米本土への攻撃は発生していない。ただ、イスラム過激思想に感化された米国人による「国産テロ」など新手の脅威も出現している。
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◇新世代の指導者
旅客着2機によるテロで炎上する世界貿易センタービル
=2001年9月11日、米ニューヨーク【EPA=時事】
首都ワシントンから約15キロ。バージニア州フォールズチャーチの「ダール・アルヒジュラ」は、金曜礼拝に約3000人が集まる全米屈指のモスク(イスラム礼拝所)だ。イエメンのテロ組織「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)幹部で米政府が米国人で初めて「暗殺対象リスト」に含めたとされるアンワル・アウラキ容疑者は2001年9月の同時テロ当時、このモスクのイマーム(指導者)だった。
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米国生まれのイエメン育ち。欧米とイスラムの文化を理解し、流ちょうな英語で教えを説くアウラキ容疑者は「あらゆる資質を兼ね備えたイマームだった」と同モスクのジョハリ・アブドルマリク師は振り返る。同容疑者は当時、テロを非難して異宗教間対話を訴え、米メディアに「東西を結ぶ新世代のイスラム指導者」ともてはやされた。
02年に米国を去ったアウラキ容疑者が再び注目を集めたのは7年後。09年11月、テキサス州フォートフッド陸軍基地で銃を乱射し、13人を殺害した陸軍精神科医ニダル・ハッサン被告は、同容疑者がインターネットで扇動するジハード(聖戦)に心酔していた。
09年12月の米航空機爆破テロ未遂事件や10年5月のニューヨーク・タイムズスクエア爆破未遂事件の被告も、アウラキ容疑者の影響を受けていたと伝えられる。同容疑者を信奉してイエメンに移住し、当局に拘束された米国人が、過去に6カ所の米原発で働いていた事実も発覚した。
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◇進化する脅威
モスク「ダール・アルヒジュラ」で祈りを捧げる信者
=2011年7月31日、米バージニア州フォールズチャーチ
【時事通信社】
米シンクタンク、ランド研究所のブライアン・ジェンキンズ上級顧問は、国産テロリストの大半が米国籍を持つイスラム教徒だと指摘。イラクやアフガニスタンでの対テロ戦争も背景となって、「私生活に不満を抱え、精神的に追い込まれた個人がジハードへの呼び掛けに引き付けられている」と分析する。
米政府が今、最大の脅威として警戒するのは、「9・11型」の組織的テロよりむしろ、こうした国産テロだ。ナポリターノ国土安全保障長官は「大規模で複雑な計画を阻止する多層的な安全保障システムは整った」とした上で、「国内の単独犯による攻撃を阻止するのが最も難しい」と危機感を表す。
連邦予算の調査研究機関「ナショナル・プライオリティズ・プロジェクト」によると、米政府はこの10年で6359億ドル(約50兆円)を費やし、本土防衛を強化してきた。国土安保省が7月に出した報告書は「米国は2001年9月11日時点よりも強固になった」と断言する一方、「テロの脅威は進化している」と終わりのない戦いを示唆している。(ワシントン時事)
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